北欧からのものがたり

セムラ-クリームのたっぷり入ったパンを食べる日

スウェーデン語のfettisdagen(フェティスダーゲン)=「太った火曜日」のルーツは断食前に脂肪分を蓄える習慣から来ています。この日に食べられていた甘いパン・セムラは今ではシーズンになるとどこのカフェでも食べることができ、誰が一番おいしいクリームパンを作るかを決めるコンテストも開催されるほど、愛されています。

セムラって?

「セムラ」と呼ばれるクリームパンのバンズは、小麦粉で作られたふわふわの生地にスパイスのカルダモンが練りこまれています。バンズを横半分に割って中に柔らかなマジパンペーストを詰め、その上にふわふわのホイップクリームをトッピングします。
分割したパンの上部をクリームの上に置き、粉砂糖を振りかければできあがり。

ベースはとても基本的なパン生地とクリームでありながら、スウェーデン人はどのように作るか個人的な好みを持っています。
マジパンペーストが好きな人もいれば、丸のままのアーモンド入れたい人もいるし、温かいミルクにパンを浸して食べるのが好きな人もいます。

セムラ

セムラの歴史

「セムラ」という言葉は、小麦粉を意味するラテン語の「類似」に由来します。
もともとのセムラは今ほど派手なものではなく、レーズンとナッツが詰められていたと思われる、岩のように硬くて乾燥した小麦粉のパンで構成されていたそうです。場合によっては、セムラを食用にするには、ホットミルクで数時間煮る必要がありました(これが、セムラをホットミルクに入れて食べる今日の習慣のもととなっています)。

スウェーデンにおけるセムラに関する最初の文献は1670年頃に見られますが、パンはそれよりずっと前から食べられていました。マジパン、少なくともアーモンドの使用は、より珍しい製品がスウェーデンに輸入された1700 年代に導入されました。しかし、小麦粉は何世紀にもわたって贅沢品であったため、パンが各家庭でより一般的になったのは 1800 年代後半になってからでした。

パンの存在理由は、人々が伝統的な断食の前に「太って」食事をする必要があったためです。かつて断食は復活祭の前とクリスマスの後に行われていましたが、今日ではセムラを食べる日は2月とされています。

semla in milk