伝統的なクリスマスツリー - Moz Sweden

北欧からのものがたり

伝統的なクリスマスツリー

世界各国で見られるクリスマスツリーはスウェーデンでも例外ではありません。ここではスウェーデンのクリスマスツリーの歴史と、自分らしいツリーを飾るコツをご紹介します。

クリスマスツリーの歴史

屋内に松の木を飾る風習は、1500~1600年代にドイツやスイスから伝わったとされています。当時、ツリーの飾りつけは、裕福な貴族など上流階級に属する人々が楽しむものでした。ツリーに当時は貴重なキャンディを飾ることもあったそうです。
1600年代の後半にはフランスやベルギー、オランダにもクリスマスツリーが広まりましたが、スウェーデンの家庭にこの風習が伝わったのは1800年代に入ってからでした。

スウェーデンで最初にクリスマスツリーが飾られたのは、ストックホルムの島の1つであるゼーデルマルムに暮らしていた裕福なヴレーデ・シュパラー家で、1741年のことでした。しかし、これが一般家庭に広まることはなく、実際に広まったのは1800年代の後半でした。ヴレーデ・シュパラー家は、当時としては時代を大きく先取りした一家だったと言えるでしょう。

1700~1800年代のスウェーデンで見られたツリーの装飾は、現在の定番の飾り付けとよく似ています。ツリーの枝に、明かりを灯したろうそく、りんご、そして(運が良ければ)キャンディが吊るされていました。1800年代の終わり頃には、小さな店でツリーの装飾を買うことが一般的になり、スウェーデン国旗を紐で繋げた飾りや紙のクラッカー、赤いハート型の飾りを買って吊るしていました。

Woman decorates a Christmas tree with Swedish flags
  • Woman by Christmas tree
  • Girl talking to Santa

バイキングとクリスマスツリー

「クリスマス」という言葉は、イエスの別名であるキリストに由来しており、多くの国ではクリスマスを、キリスト教に基づいてイエスの誕生と関連付けています。しかし、スウェーデン語でクリスマスは「jul」と言われ、その起源はバイキングの時代にさかのぼります。

バイキングは、冬至の日に「ユール」という祭りを行っていました。これは、1年で最も暗い時期が終わり、明るく暖かい季節に向かっていくことを祝う祭りです。クリスマスツリー――つまり装飾のない松の木――は、森で見られる唯一の緑の木であったことから、この暗く寒い時期にとって大きなシンボルのような存在でした。他の木々が秋に葉を落とす中で緑を残す松は、絶えることなく続く命の営みや生命力を象徴する木だったのです。

バイキングの人々は松の木を尊び、崇めていたそうで、屋外で松の木に飾りを付けたり、松の木の枝で作った冠を身に着けたりしていたという言い伝えもあります。

Man puts a star in top of the Christmas tree

クリスマスツリーの飾り方

伝統は時とともに変わるもので、現在ではクリスマスツリーの飾り方にルールはありません。1900年代の始めには、赤い色を使った装飾が一般的でしたが、今では各家庭がそれぞれの方法でクリスマスツリーの装飾をしています。

そこでここでは、自分なりにクリスマスツリーを装飾したい方のために、飾り付けのヒントを紹介することにします。

  • クリスマスボールは必須です。スウェーデンでは、ほとんどすべての店で、さまざまな色のクリスマスボールを見つけることができます。伝統的な色は赤、シルバー、ゴールドで、プラスチック製とガラス製のものがあります。
  • モールにはシルバーやゴールドのものがありますが、雪を連想させる白のモールもとても人気です。ツリーに巻きつけても良いですし、上から木の裾に向かって垂らすように飾ることもできます。
  • 電球はツリーを一層華やかにし、部屋の明かりを落としたときにもツリーを輝かせます。最近では、本物のろうそくにそっくりの大きな電気キャンドルや、小さな光の点が連なる電飾が定番です。
  • 懐かしい雰囲気を演出するなら、丈夫な紙やハサミを使って装飾を手作りするのも良いでしょう。「クリスマスツリー装飾 手作り」と検索するだけでさまざまなアイディアが見つかりますし、家族や子どもたちと楽しい時間も過ごせるでしょう。
  • 本物の針葉樹をクリスマスツリーに使う場合、花と同じく植物であることをお忘れなく。茶色く変色したり、枯れたりしないように、たっぷりと水をあげましょう。ツリースタンドはどれも水を入れられるので、ツリーが乾燥しないよう、常に水で満たしておきましょう。

最近のクリスマスツリーには、さまざまな色の組み合わせが見られます。上から下まですべてを赤で統一したツリーはとても力強い印象があり、人気です。
一方で、赤にとらわれず、それでいて「クリスマスらしさ」を感じられる色を使うことも最近のトレンド。その一例が緑とゴールドを基調とした装飾で、麦わら細工のオーナメントや布製の飾りでゴールドを、苔を使った飾りや植物、木のオーナメントで緑を演出することができます。ゴールドと緑なら、森とその色を表現できましし、全体に白とシルバーを使えば、雪や冬の風景を表現できます。白とシルバーは、家の中でも自然の中でも、まさに北欧を象徴する色です。自然を家の中に取り込むような装飾も人気ですが、白を使ったクリスマスの装飾は、ツリーだけでなくテキスタイルやインテリアにも取り入れられている最近のトレンドです。

ただ、前述のように、決まったルールはありません。思いのままに、そして自分の好みに合わせてツリーを飾りましょう。ツリーを飾りながらクリスマスの雰囲気を楽しみ、家族と一緒に素敵な時間を過ごすこと、これが何より大切なのです