Sofia Winroth - Moz Sweden

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クロスカントリースキー


クロスカントリースキー

雪が降ると外には出られない? いえいえ、初雪は新しいアウトドアシーズンの幕開けの合図です。
日は短く、雪は深く、寒さは厳しくなる冬本番こそ、スウェーデンの人々は大自然の中に繰り出します。澄み切った冬の空気を楽しむには、クロスカントリースキーが一番です。

冬を満喫するアクティビティ

クロスカントリースキーは、スウェーデン語では「turskidåkning」と言い、美しい冬の景色や凍って雪で覆われた湖を眺めながらできる運動としてスウェーデンの人々に愛されています。
クロスカントリー用のスキー板は、雪の上で長時間ゆったりと滑ることを想定して設計されています。傾斜が急な丘での滑走や、スピード感のある熱いレースとは異なり、自然の中を静かに進んで楽しむのです。

Woman in knitted sweater stretches her arms to the sky

自分のペースで

クロスカントリースキーの魅力は自分のペースで進めること。足を止めて美しい景色を眺めたり、少し休憩してリュックから甘いおやつと飲み物を取り出してみたり、太陽の光を浴びながら思い思いに1日を過ごしましょう。ひとりでも、誰かと一緒でも構いません。このアクティビティの目的は、スキーの技術やスピードを競うことではなく、心をリラックスさせ、満ち足りた時間を楽しむことなのです。

雪と太陽の光の中で過ごすアウトドアアクティビティは、新しいコミュニケーション方法として定着しつつあります。ソーシャルメディアやテレビ、アプリから距離を置き、目の前の人との距離を縮めましょう。楽しくおしゃべりをしながら、同時に冬の景色楽しむことがアウトドアアクティビティの醍醐味です。事実、誰かと一緒に過ごすことでストレスが軽減され、心身の健康が増進するという研究結果もあります。自然の中に身を置き、美しい雪景色の中をスキーで進み、フィーカを楽しむだけでなく、アウトドアでは心も健やかになれるのです。

Woman skier relaxes with face turned to the sun.
Njutbara stunder, Enjoyable moments, Swedish sayings Njutbara stunder, Enjoyable moments, Swedish sayings

フィーカの楽しみ方

どんな一日でも、お茶休憩は欠かせない―それが「フィーカ」の精神です。
フィーカとは軽食とコーヒーなどの飲み物を楽しむこと。家で、職場で、カフェで、とどこでもフィーカはできますが、自然の中のそれはまた格別です。
スウェーデンでは、フィーカの時間がアクティビティそのものと同じくらい重視されています。そして、フィーカになくてはならないのは甘いおやつ。ここではスウェーデンで人気の定番ドリンクやおやつを紹介します。

  • 冷えた体を温めるココア。できれば手作りするのがおすすめです。Mozでも簡単で美味しい手作りココアの作り方を紹介しています。心までほっと温まること間違いなし。
  • 「Polarbröd」で作ったサンドイッチ。Polarbrödとはスウェーデンのパンの一種で、イースト、牛乳、バター、ライ麦粉、小麦粉から作られる、丸い形をした平らなパン(スウェーデン語では「polarkaka」)です。ほんのり甘くて柔らかいこのパンは、バター、ハム、野菜を挟んで食べるのがおすすめです。
  • 他にもフィーカに欠かせないのは「kanelbulle」、シナモンロールです。イーストで発酵させた生地に、砂糖、バター、シナモンを加え、上にはパールシュガーを振りかけて焼くと、甘い香りに心が躍ります。
A basket of fika, coffee and cinnamon buns

「森の金」アンズタケ


「森の金」アンズタケ

アンズタケはスウェーデン語で「kantareller(カンタレラ)」と言い、多くの人に愛されているキノコです。秋の初めに収穫時期がピークを迎えると、金色に輝くアンズタケを探す人々が森に分け入ります。

見つけやすく人気の高いアンズタケ

アンズタケはスウェーデンで最もよく食べられているキノコのひとつ。明るい黄金色をしており、毎年同じ場所に群生することが多いため、森の中でも見つけやすいと言われています。形と色がとても特徴的で、ユニークな見た目をしていることから、他のキノコと間違えることはまずありません。キノコ狩り初心者でも気軽に収穫できるのがアンズタケの魅力なのです。

また、太陽の光を好むというのも、私たちにとってはうれしい習性です。
アンズタケは、さまざまな種類の樹木があって光の入りやすい森でよく育ちます。森の小道沿いに生えることが多いため、わざわざ暗い森の奥まで入っていく必要はありません。小道から外れることなく、かごいっぱいのアンズタケが採れることもあります。

Woman picking chanterelles.

アンズタケ狩りに持っていくもの

アンズタケ狩りは、気軽な装備で楽しむことができます。雨の森の中を歩かなくてもいいように天気の良い日を選び、収穫シーズン中に出かけましょう。アンズタケは7月から10月に育つため、夏の終わりから秋の初めにかけてが収穫のチャンスです。

では、どんな準備が必要なのでしょうか? 基本的には、森でのキノコ狩りを満喫するために必要なものを自由に準備してもらえば大丈夫ですが、おすすめのアイテムは次の通りです。

  • 飲み水
  • シナモンロールなどの甘いおやつ
  • コーヒーまたはお好きな温かい飲み物
  • キノコを入れるかご
  • きれいな景色を撮影するためのカメラ、またはスマートフォン
  • ピクニックシートなど、休憩時に使う敷物
  • 一緒に楽しむ友人
Man and woman with mushroom basket
Känn lugnet bland träden, feel the calmness among the trees Känn lugnet bland träden, feel the calmness among the trees

アンズタケを見つけるコツ

アンズタケ探しはそれほど難しくはありません。次のポイントに注意して探してみてください。

  • 森の中で光が当たる場所
  • (松の木が密集するような森ではなく)複数の種類の木が混在する森
  • 歩いている小道の足元をよく見る
  • 以前にアンズタケを見つけた場所があれば、同じ場所に生えている可能性が高い
  • 黄金色のキノコが群生しているエリアを見つけたら大当たり

アンズタケの食べ方もいろいろあります。
一番の定番であり、最も簡単な方法は、バターで炒めたアンズタケをトーストにのせる食べ方です。他には、アンズタケを使ってキノコソースを作り、ミートボールやじゃがいもと一緒に食べるのもおすすめです。

Woman wonders in forrest, mushroom hunting.

8月のザリガニパーティー


8月のザリガニパーティー

スウェーデンのザリガニには旬があり、8月の始めから9月の終わりにかけてザリガニ捕りが盛んに行われます。そのためスウェーデンでは、ザリガニ捕りの伝統を祝い、夏の終わりに「kräftskiva(クレフトシーヴァ)」というパーティーを開きます。

ザリガニパーティーの歴史

スウェーデン語でザリガニは「kräftor(クレフトル)」と言い、パーティーの名前の「kräftskiva(クレフトシーヴァ)」もこれに由来しています。スウェーデンでは昔からザリガニ捕りが盛んでしたが、スウェーデンのザリガニが絶滅することを恐れ、1920年代に政府はザリガニの収穫を規制しました。

それ以来、ザリガニ捕りが解禁されるのは8月と9月にだけになりました。こうしてシーズンの幕開けと同時に皆でザリガニ捕りを楽しみ、お祝いする伝統が根付いたのです。今でもこの伝統は残っており、家族や友人たちが集まって美味しい料理を囲みます。もちろんこのパーティーでも他のお祝い事と同じように、スウェーデン人お得意のちょっと変わった帽子とおかしな歌が登場します。

Friends cheering at crayfish party.

ザリガニ捕りへ行こう

パーティーのテーブルの主役であるザリガニが自分で捕ったものならなお最高です。目覚まし時計と専用のかご、そして充分な時間さえあれば、ザリガニ捕りはそれほど難しくはありません。

ザリガニ捕り用のかごは長い筒のような形をしており、その入口は、一度かごに入ったザリガニが逃げ出さないような作りになっています。かごの中に魚の頭など、ザリガニが喜びそうな餌を入れ、長い糸か細いロープを結びます。そのかごを夜のうちに海や湖に沈めます。このとき必ず水の底に着くまで沈めましょう。ロープを木など固定できる場所に結び、朝になったらかごを確認します。

時間をかけるとザリガニがたくさん捕れると思われるかもしれませんが、待ちすぎも禁物です。なぜなら何日間もかごを放置すると、ザリガニがお互いを食べ始めることもあるからです。また、死んでしまったり、状態が悪くなってしまったりすることもあります。翌日の朝(または2日後の朝)に早起きをしてかごを回収し、ザリガニを捕るをおすすめします。

最後に1つ補足を。生きたザリガニは暗い灰色か黒っぽい色をしています。調理するとちゃんと見慣れた赤色になるので、ご心配なく。

Wooden bucket and trap for crayfishing.

ザリガニパーティーの飾りつけ

ザリガニパーティーの飾りつけはとても特別なものです。この行事のための飾りを引っ張りだしてきて、スウェーデンの人々はとことん飾りつけます。ここでは、ザリガニパーティーで正式な装飾を行うための必需品を紹介しましょう。

  1. テーブルクロスをかけた長いテーブル(人が多ければ多いほどパーティーは楽しいもの)
  2. 紐で繋げた色とりどりの小さな旗
  3. 紙で作られ、笑顔が描かれた丸い提灯のようなランプ
  4. ザリガニの形を紙で作った吊るし飾りをたくさん
  5. 食べるときに使うエプロン(もちろんザリガニの絵が描かれたもの)
  6. 小さなパーティー帽(お察しのとおり、絵柄は… ザリガニ!)

この他に、歌の本などを置いて、テーブルを飾っても構いません。スウェーデンでは、スナップスという蒸留酒を飲む前に、短い歌を歌うという習慣があるためです。風変わりで奇妙な、そしてちょっぴり下品な歌がよく歌われ、高い声で歌うほど皆に喜ばれます。ザリガニパーティーでは、こうした短い歌の歌詞を自分でアレンジするという伝統があります。個人的なエピソードを加えたり、みんなが楽しめる歌詞にしたりして、楽しみます。

なお、ザリガニは手で食べるので、ナプキンを大量に用意するのをお忘れなく。

Table decorated for crayfish party.

スウェーデンの夏至祭と魔法の夜


スウェーデンの夏至祭と魔法の夜

スウェーデンでは何百年も前から夏至をお祝いしてきました。いつまでも日の沈まないこの時期、人々は花々で飾られたメイポールを作り、歌と踊りを楽しみ、伝統的な夏の料理を囲み、友人や家族と時間を過ごしながら、魔法の宿る長い長い夏の夜を楽しみます。

メイポール

古くは「majstång(マイストン)」と呼ばれていたスウェーデンのメイポール。スウェーデン語で5月を意味する「maj(マイ)」を連想させますが、スウェーデン語の「maj」は、もともと「何かに葉を付ける」こと、もっと現代的な言い方で言うと「何かを飾り付けること」を意味しています。

現在親しまれているメイポールが、木のポールをたっぷりの葉で飾り付けて大きな十字架のような形を作り、2つの大きな花輪を吊して作られることを考えれば、「majstång」という呼び方はまさにぴったりです。
夏至祭の間、人々はメイポールの周りで歌い、踊ります。人数は関係なく、たとえ人が少なくても、多くても、お祝いの踊りは続くのです。
ダンスの定番ソングといえば、カエルのダンスや洗濯の日の歌、そして凍った池の周りでこそこそと何かをたくらむキツネの歌も有名。振りを揃えて踊るフォークダンスも欠かせません。

People dancing around a may pole
I goda vänners lag, Among good friends, Swedish sayings I goda vänners lag, Among good friends, Swedish sayings

夏至の夜に宿る魔法

夏至祭の前日である「ミッドサマーイブ」の夜には、かつて魔法が宿ると信じられていました。現在は、太陽がいつまでも沈まないこと自体を魔法のような日だとして祝い、家族や友人と時間を過ごしたり、夜中に泳ぎに行って静寂の中で自然を感じたりしてこの夜を楽しみます。

しかし数百年前、この魔法の夜には違った意味合いがありました。この日は、農民たちが作物の成長と豊かな実りを祈る日だったのです。少女たちは静かに花を摘み、未来の結婚相手に夢で会いたいと願いました。また、露で濡れた草原の中を転がれば、強くて健康な身体になれるとも信じられていました。

いくつかの伝統は現代にも残っており、夜に花を摘むと未来の結婚相手の夢が見られるという言い伝えもそのひとつです。信じるか信じないかは別として、こうした伝統が明るい夏至の夜を楽しむ素敵な方法であることは確か。きっと今後も受け継がれていくことでしょう。

Woman and girls picking flowers in a meadow

友人と「ヌッベ」を楽しむ

クリスマスが家族で楽しむイベントなら、「ミッドサマーイブ」は友人と楽しむ日と言えるでしょう。この日は人々が集まって、いろいろな種類のニシンの酢漬け、新じゃが、ネギを入れたサワークリームなどを一緒に食べます。そして、忘れてはいけないのが「ヌッベ」です。
「ヌッベ」は、「スナップス」とも呼ばれるアルコール度数の高いスウェーデンの蒸留酒。原料にはじゃがいもが使われ、冷やして食卓に出されます。現在ヌッベには多くの種類があり、ほのかにレモンとエルダーフラワーが香るものから、ヨモギの苦みが感じられるものまで、さまざまなフレーバーを楽しめます。また、ミッドサマーイブのお祝いには歌が欠かせません。ヌッベを飲む前には必ず短い歌を歌ったり、ときには自分が経験したエピソードを歌詞に入れてアレンジしたりします。歌を歌い終わったら小さなショットグラスを掲げ、「SKÅL(スコール)」と言って乾杯します。夏至の長い夜は、こうしていつまでも続いていくのです。

Midsummer celebration, eating and drinking

花かんむりの作り方


花かんむりの作り方

花輪は夏至祭のメイポールに飾ったり、頭にかぶってみたりと楽しみ方はいろいろです。花の咲き乱れる季節にはぜひ伝統的な花かんむりを手作りしてみましょう。

愛され続ける花かんむり

何百年も前、花かんむりは装いを華やかにするものとして、結婚式にも使われていました。夏の間は美しい花が咲き誇り、お金もかかりません。花嫁用の高価な髪飾りには手が出せなくとも、花かんむりなら作ることができたのです。また花かんむりをドライフラワーにすると、いきいきとした夏のを思い出させ、寒い冬の間にも生命の息吹を感じることができます。

クリスマスの日に、浴槽の中に乾燥させた夏至の花を浮かべると幸運を呼ぶという言い伝えもあります。現在、花かんむりは子どもたちから年配の方々まで、男女問わずすべての人に愛される伝統となっています。昔は、花かんむりは女性がかぶるものでしたが、現代では誰がかぶっても構いません。

Woman with flower wreath, sitting on a swing
  • People cheering around a table

自分だけの花かんむりを作る

花かんむりの作り方にルールはありません。
葉だけを使う人もいれば、葉と花の両方を織り交ぜて作る人、あるいは花だけを使って作る人もいます。
まずは一般的な作り方を覚え、それから想像力をふくらませて自由に花かんむりを作ってみましょう。

花かんむりを作る方法はいくつかありますが、簡単なのは強度のある針金で土台となる円を作り、そこに花を加えていく方法です。次のものを準備しましょう。

  • 強度のある太い針金(土台用)
  • 花を付けるための細い針金
  • さまざまな種類の花や葉(花は茎が短すぎないものを選ぶ)
  • 布やサテンのリボン(あれば)
Woman making a wreath of midsummer flowers

作り方

  1. 太い針金で円形を作り、頭に合わせて大きさを調整します。これが花かんむりの土台になります。
  2. 土台に細い針金を付け、花を加えていきます。
  3. 細い針金を茎の周りに巻きつけ、1本ずつ花を付けていきます。針金を巻きつけながら花と葉を交互に付け、これを繰り返します。
  4. 土台全体が花で覆われたら、巻きつける作業はおしまいです。あとは細い針金を隠して整えます。
  5. 好みに合わせて花かんむりをサテンのリボンで飾り、リボン結びを作って完成です。

花かんむりを作る際のポイントは挑戦を恐れないことです。ちょっと大きく作ってみたり、目立たせてみたり、楽しいものにしたりしてみましょう。花かんむり作りに正解も間違いもないのです。夏至の花を存分に使って思いのままに作り、自分だけのかんむりを楽しみましょう。

Woman teaches girl how to make a wreath

スポーツ休暇


スポーツ休暇

スポーツ休暇とはスウェーデンの慣習で、2月の一週間、ほとんどの学校が休みになります。
社会人も休みを取る人が多く、人々は外で過ごして新鮮な空気を楽しみ、気分が沈みがちな月を乗り切るために気分転換をするのです。

「sportlov(スポーツロブ)」とは?

スポーツロブ=スポーツ休暇は学校で定められている休みのひとつです。
日本の春休みにあたる短い休暇で、スウェーデンでは2月に一週間ほど学校が休みになります。子どもたちは外で遊んだり、友達や家族との時間を楽しんだりします。
近年はスキーに出かけたり、外でソリ遊びをしたり、自然保護区の大自然の中でピクニックやハイキングを楽しんだりする家族が増えています。
スポーツ休暇は、冬のアクティビティやウィンタースポーツを楽しむにはうってつけの休暇で、なんとなく気分が沈みがちな2月に皆が待ち望む一週間なのです。

  • Boy with Moz on the sleigh
  • Fika in the sun
  • Cross country skiing, sportlov
  • Boy getting kisses from dog

スポーツ休暇の起源

スポーツ休暇は1940年代頃から存在していますが、当初は、子どもたちを雪で遊ばせるという現在の目的とはまったく異なり、むしろ正反対のものでした。
第二次世界大戦が始まった頃、燃料や暖房機器の価格が大きく高騰し、学校は、お金と燃料の両方を節約するため、一週間の閉校に踏み切らざるを得なくなりました。
第二次世界大戦中は特に寒く厳しい冬であったため、学校を閉めることが、暖房の燃料不足と価格高騰への対応策になったのです。

スポーツ休暇の過ごし方

スポーツ休暇にはさまざまな楽しみ方があり、遠出をせずとも楽しむ方法もたくさんあります。
たとえば、自宅で家族とすてきな休暇を楽しみ、大げさな準備をせずに屋外で過ごすという方法もあります。

  1. 「pulkabacke(プルカバッケ)」に遊びに行く。
    「pulkabacke」とは、ソリ遊びができる小さな丘のことです。
    2月は丘が雪で覆われるため、家族みんなでソリ遊びを楽しめます。
  2. 冬のピクニックに行く。
    魔法瓶にホットココアを注ぎ、必要なものをバッグに詰めたら、森や自然保護区に出かけて1日を過ごしましょう。新鮮な空気を楽しむためには、シナモンロールにホットドッグ、ブランケットに手袋まであると完璧です。
  3. 雪だるまを作る。
    想像力を自由にふくらませてみましょう。雪の量が十分なら、雪の村や城を作ってみては? 等身大の馬や、ドーム型の雪の家を作るのも楽しそうです。雪が降っている日をうまく活用しましょう。
  4. 機会があればスキーに行く。
    スキーは、スポーツ休暇の定番の過ごし方のひとつ。ゲレンデで雪の1日を楽しんだ後の爽快感に勝るものはありません。

春を告げる白いアネモネの花


春を告げる白いアネモネの花

森に白いアネモネの花が咲き誇ると、春が来た証です。この可愛らしい小さな花はスウェーデン語で「vitsippor(ヴィッチポール)」と呼ばれ、何世紀にもわたって人々に愛されています。

アネモネが咲く時期は?

スウェーデンに春がやってくるのは、住んでいる場所によって異なりますが、4月から5月にかけてです。森のあちこちに「vitsippor(ヴィーチポー)」が顔を出し始めると、人々は春の訪れを感じます。アネモネは4月の終わりから5月の終わり頃まで咲き続け、地面を真っ白に美しく埋め尽くします。

スウェーデンで咲くアネモネには、白と青の2種類があります。白いアネモネは自由に摘むことができ、春には至る所で見られます。一方で、青いアネモネは「blåsippor(ブローシポー)」と呼ばれ、青みがかった紫色をしています。こちらは自然に残された数が少ないことから、法律で保護されており、摘み取ることができません。青いアネモネが保護の対象であることはスウェーデンではよく知られており、そっとしておいてほしいと告げる歌まであるほどです。

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スウェーデンの人々がアネモネを摘む理由

白いアネモネを摘むのは、昔からの伝統です。スウェーデンの人々は野生の花をさっと摘んで飾るのが得意ですが、この小さなアネモネもブーケとなり、多くの家庭の食卓を飾ります。それは家の中に春を迎え入れる習慣のようなもの。子どもたちは花を摘んでは家に持ち帰り、両親にそれを渡すのです。

また、アネモネには、その昔、子どもたちが花を摘んで小さなブーケを作り、道端で売っていたという歴史もあります。人々はそこで馬車を停め、スウェーデンの最も小さな単位の硬貨「öre」1枚でそのブーケを買ったといいます。当時の子どもたちはちょっとしたお金を稼いで家計を助けていました。この様子は、映画『Glassblower’s Children』や、長くつ下のピッピの作者、アストリッド・リンドグレーンの名作『Emil i Lönneberga(邦題:エーミル)』といった作品の中にも描かれています。

夏至の花でうらなう結婚相手


夏至の花でうらなう結婚相手

夏至の前日の夜に関する1つの古い言い伝え。それは、夜のうちに7種類の花を摘み、枕の下に置いておくと、未来の結婚相手の夢を見ることができるというもの。あなたも試してみませんか?

夏至には不思議な力が宿る

その昔、夏至の夜には魔法が満ちていると信じられていました。太陽が沈まず、1年で最も夜が明るいことから、魔法の類だと考えられていたのです。人間界と超自然界の境界があいまいになり、辺りは魔力を宿した生き物や音、不思議な出来事で満ち溢れる――そんな「魔法の力」を信じ、将来の結婚相手に夢で会いたいと願いながら、多くの少女たちが草原に出かけて花を摘んでいたのです。

Woman and two girls picking flowers for midsummer
Midsommardröm, Midsummer dream, Swedish sayings Midsommardröm, Midsummer dream, Swedish sayings

本当にうまくいく?

時は流れ、夏至の夜に魔力が満ちていると考えることはだんだんと難しくなっています。数百年前であれば、不思議な生き物や魔法の存在を信じることは日常の一部であり、説明のつかない物事を説明するための1つの方法でした。現在は、科学の力で自然を理解しようとしていますが、当時は、魔法や宗教がその役割を担っていたのです。

そこで誰もが知りたいのは、「本当にうまくいくの?」ということ。これは難しい質問ですが、中には、偶然にも近所の男の子の夢を見て、言い伝えが当たったという子もいたかもしれません。答えを見つける最も良い方法は、自分で試してみることです。言い伝えは今でも続いていますし、夏至には花もたくさん咲いていますから。たとえ魔法のためでなくても、明るいスウェーデンの夜を満喫するには、とても素敵な過ごし方と言えるでしょう。

Man and woman hugging, bikeride

決まりごとを守ること

残念ながらこれは、ただ7種類の花を摘んで枕の下に置いておけばいいという簡単な話ではありません。本当に魔力を引き出したいのなら、いくつかの決まりごとを守る必要があります。その1つは、すべてをできるだけ反対に行うこと。物事を間違った順番で、あるいは前後や上下を逆さまに行うことは、普通のキリスト教徒の生き方とは真逆の行いであることから、魔法の世界への「近道」だと信じられていました。もう1つの決まりごとは、おしゃべりをして魔法を解いてしまわないこと。成功への鍵は沈黙です!

絶対に成功させたい場合は…

    1. 花の数は必ず奇数にします(3、7、9など)。
    2. すべて違う種類の花を摘みます!同じ種類の花を7本摘むのは簡単すぎますよね?
    3. 開始時点から花を枕の下に置くところまで、会話は一切しないこと。繰り返しますが、成功への鍵は沈黙です。
    4. 「gärdesgård」――草原の間に作られた昔の柵――を、花を1本摘む度に飛び越えます。花は7本なので、つまり柵も7回飛び越えることになります。
    5. 本当に魔力を引き出したいのなら、すべてを反対に行いましょう。後ろ向きに歩き、後ろ向きにジャンプし、計画した道順を反対から歩きます。

    だって、未来の結婚相手のためなら、できないことなどないでしょう?

自家製ココア


自家製ココア

ハイキングやピクニックなど自然の中で飲む自家製ココアはスウェーデン人も大好物です。ここでは簡単に作れるレシピをおさらいしてみましょう。

ココアを作るには

ココアは、ご存じの通り家でも簡単に作ることができます。冬の寒い日には特においしいココア、保温ができる容器に入れればいつでも温かいココアが飲めます。お気に入りのマグカップとシナモンロールを片手に友達と一緒に楽しむのもいいですね。ここではおいしく作るコツをご紹介します。

材料(1カップ分)

  • ココアパウダー 大さじ1
  • グラニュー糖 大さじ1.5
  • 生クリーム 50ml
  • 温めた牛乳 200~300ml(お好みの濃さに調節してください)
Woman drinking hot chocolate Moz cup

作り方

お好きなマグカップに、ココアパウダー、グラニュー糖、生クリームを混ぜてココアのベースとなるココアバターを作ります。なめらかになるまでスプーンでよく混ぜましょう。
それから牛乳を沸騰しないように気を付けながら温めます。温めた牛乳を加え、ココアバターが完全に溶けるまで混ぜます。魔法瓶にココアを作りたい場合は、レシピの分量を調節してください。これで人数が増えても大丈夫。
ココアの上にホイップクリームをのせるのもおすすめです。

A cup of hot chocolate

スウェーデンのクリスマス


スウェーデンのクリスマス

クリスマスの祝い方は国によってさまざま。スウェーデンでもクリスマスは盛大にお祝いしますが、他の国とはちょっと様子が違っていたりします。また、各家庭にはそれぞれに毎年恒例の祝い方がありますが、12月24日にほぼすべての家庭で見られる同じ光景というものも存在します。

クリスマス料理のビュッフェ

クリスマス料理のビュッフェには、スウェーデンの食の歴史が現われていると言っても過言ではないでしょう。伝統的なビュッフェでは、クリスマスだけに食べられる食材や料理が所狭しと並びます。食の歴史に詳しい専門家の中には、クリスマスビュッフェは自分たちの過去や先祖とつながる方法だと捉える人もいます。今、若者たちが食べている料理は、数百年前にその先祖たちが食べていたものと同じレシピで作られた同じ料理かもしれないのです。

現在のビュッフェで見られる最古の料理は「ルートフィスク」です。ルートフィスクは、干した魚を灰汁に入れ、身が白く、固く、そして薄くなるまで漬けたもので、食べるためにはその魚を何週間も真水に浸す必要があります。そうしてグリンピースやバター、オランデーズソースで食べます。1400年代にまで遡る最古のレシピでは、そこにアーモンドとレーズンも含まれていました。

Fat med julmat

現在の定番料理

現在、よく食べられているのは、クリスマスハムです。1800年代の終わり頃に登場した料理で、伝統的なレシピでは、かりっとしたマスタードのクラストで覆われています。食べる際は、冷たいまま薄くスライスし、風味の強いスウェーデンのマスタードを添えます。
また、酢漬けのニシンとサーモンもビュッフェには欠かせない大事な存在です。酢漬けのニシンにはさまざまな味付けがあり、サーモンは温燻か冷燻、または塩漬けされたものがテーブルに並びます。

Julskinka på fat
Minnesvärda stunder, couple embracing Minnesvärda stunder, couple embracing

Kalle Anka ードナルドダックとその仲間たち

スウェーデンには年に2回、皆が集まる時間があると言われています。大みそかの鐘が鳴る時と、「Kalle Anka(カッレ・アンカ)」のテレビ放送の時間です。
毎年、クリスマスイブの午後3時になると、公共テレビでは「Kalle och hans vänner」という番組を放送します。これは、皆さんおなじみドナルドダックとその仲間たちの短いアニメ番組で、ディズニーのクラシックな作品と新しい映像を組み合わせ、毎年まったく同じ内容で放送されます。スウェーデンではこの番組が60年代から続いていて、放送の時間になると年齢に関係なく全員がテレビの前に集まります。

Man och kvinna tittar på TV
  • Girl in red dress hugging Moz
  • Wrapping of Christmas presents
  • Granddaughter, daughter and grandmother with Moz
  • Baking gingerbread Moz

サンタクロースとプレゼント

子どもたちは皆その夜を待ち焦がれています。サンタクロース―スウェーデン語では「Tomten(トムテ)」―が暗闇の中から現れて、プレゼントを届けてくれる夜です。伝統的なサンタクロースは赤い服を着て、白いひげをたっぷりとたくわえ、とんがり帽子をかぶり、黒い大きなブーツを履いています。大きなまるまるとした体型で、低い(でも優しい)声で話し、プレゼントを大きな布の袋に入れて運んできます。

多くの場合、家族の中の誰かが「Tomten」役を担当します。お父さんやおじいちゃんも良いですが、クッションをお腹に詰め、サンタに扮したお母さんもいるかもしれません。昔から使われてきた”部屋を出るための口実”は「新聞を取ってこなくちゃ」です。これなら、サンタが現れた時にそこにいなくても不自然ではありませんよね。

サンタが部屋に入ると、「Finns det några snälla barn här?」と聞きます。これは、「ここに優しい子はいるかな?」という意味で、1年間優しかった子だけがプレゼントをもらえるということなのです。大人にも同じ仕組みが必要かもしれませんね。

Girl hugging santa

あなただけの伝統を

クリスマスの魅力の1つは、自分だけの伝統を作れることです。どの家庭にも、クリスマスを楽しむための小さな決まり事があります。ドナルドダックの番組の前に食事をする家もあれば、その後に食事をする家もあるでしょう。朝のうちにプレゼントを少し開ける家もあれば、夜になってから開ける家もあります。ニシン料理やエッグノッグの秘伝のレシピがある家もあれば、パチパチと燃える暖炉の火がなければクリスマスが始まらないという家もあるでしょう。
自分たちなりの過ごし方を決め、独自の伝統を作り上げて、何年も何年もそのお祝いを続けていく―これが、現在のスウェーデンのクリスマスではとても大切にされています。

Mamma och barn öppnar julklappar i sängen